otolaryngology
- 2020/02/29
- 01:38
官能小説 メディカル・モール
愛が、ドアを開けて中へ入ると、目の前には、スリッパが幾つか並べてあった。『ああ、ここは履物を、脱いでスリッパに履き替える所なのね。』 愛は、キョロキョロと辺りを見回したが、待合には、誰もいなかった。『そっか、完全予約制ってあったから、今は私しかいないのね。それにしても、受付に誰もいないのかしら?』 そう思っていると、スマホが”キンコン”と鳴った。インストールした専用アプリが、動いているようだ。『何かしら?』 愛は、そう思ってスマホ画面を見た。画面には、”お試しキャンペーンにご参加下さいまして、有難う御座います。こちらのソファーで、暫くお待ち下さい。” と表示されていた。愛は、目の前のソファーに腰掛けた。『ふう、ちょっと遅くなったけど、無事に来れたわね。よかった。』 と、ホッとしますが、若干の不安も感じます。
愛は、ソファーに腰掛けて待ちます。一息つくと、待合には穏やかなBGMが流れ、緑の植物が置かれ、壁には、額に入った絵画が掛けられています。アロマの薫りが漂い、ゆったりとした気分になりました。横には、無料のドリンクサーバーが置かれています。”お飲み物は、自由にどうぞ” と書いてあったので、カップを取り、ボタンを押して、お水を汲みます。前のガラステーブルに置いて、寛ぎながら飲みました。
”キンコン”と再び、スマホが鳴りました。画面を見ると、”現在の健康状態を、お知らせ下さい。次の内から選んで下さい。”
『ええと、快調、普通、やや不調、不調ってあるわ。そうね、普通かしら。』 愛は、そう言うとボタンをポチります。次に、飲酒の有無、熱があるか、薬の服用の有無等が問われたので、全て無しのボタンをポチります。すると、画面に
”更衣をお願いします。お着物が汚れないように、専用ガウンを着用下さい。その際、下着も全てお脱ぎください。パンティは、使い捨てのものが、ご用意されていますので、お使いください。手荷物を持ち、左手奥の更衣室へどうぞ。更衣が終わりましたら、診察室へどうぞ” と表示されました。 愛は、『あ、そうなんだ。検診衣って事かしら?』 カップをトラッシュビンに捨てて、バッグを手にして、立ち上がります。少しドキドキします。『やっぱりクリニックよね?』 ”更衣室”のドアを開けると、そこは狭くて、中にロッカーがありました。バタンとロッカーの扉を開けると、ガウンが掛かっています。上には、袋に入った使い捨てパンティがあります。『ああ、これね。じゃ、よいしょ。』 バッグを下へ置き、上着を脱ぎます。ハンガーへ掛け、更に衣服を脱いでいきます。流石に下着を取るのに、不安が有りますが、他に誰もいる気配が無いので、思い切って脱ぎます。急いでピンクの使い捨てパンティを穿きます。『あら、悪くないわね。今度、旅行に持って行きたいわね。』 ガウンを直ぐに羽織ります。紐をキッチリ結んで、ちょっと安心します。『これでいいのね。ストッキング脱ぐと、楽ね~♪』 着衣とバッグをロッカーへ入れて、扉の鍵を回して抜きます。ガウンのポケットへ入れました。『これでいいわよね。』 愛は、更衣室から出ます。『診察室へ行くのよね。』 直ぐ左に”診察室” は、ありました。
”診察室” のプレートがあるドアを、ノックします。中から、「どうぞ、お入り下さい。」と、男性の声がしました。『あれ、男性なの?』 と、愛は少し複雑な気持ちになります。『そっか、エステティックサロンじゃなくて、クリニックなら、そうよね。』
愛は、恐る恐るそーっとドアを開けました。同時に室内から、消毒液か薬品か何かの、病院独特の臭いが漂って来ました。室内には、白いカーテンと、診察椅子、ベッド、衝立、それにライトが、眩しく目に入ります。『わっ、クリニックだわ!!』 愛は、一瞬たじろぎます。「どうぞ、こちらへお掛け下さい。」 白衣のドクターらしき白いマスクをした男性が、声を掛けます。愛は、思わず 「は、はい。」とかん高い声で返事をしました。普通のクリニックのように、篭とスツールが目に入ります。白衣のドクターらしき男性が続けて言います。「上着は、其方へ掛けて下さい。」 愛は、辺りを見回してから、静々とスツールへ腰掛けました。 ドクター(多分)は、「今日は、よくお越し下さいました。お待ちしていましたよ。既に、問診票には、お応え頂いておりますので、簡単に確認だけして行きましょう。」 と愛に、話し掛けます。言葉は、丁寧ですが、鋭い視線に、ちょっと怖そうな印象を受けます。 愛は、「は、はい、宜しくお願いします。」 と会釈して応えます。

白衣のドクターは、横に置かれたPCの電子カルテを見ながら、立て続けに、愛がスマホで送ったフォームの内容を、確認して行きます。愛は、適当にチェックを入れておいただけなので、ドクターに詳しく質問ををされて、少々動揺します。それでもこれは、無料で全部遣って貰えるんだからと、自分に言い聞かせて、堪えます。ドクターは、マウスをカチカチとクリックして、項目を埋めて行きます。愛が、曖昧な受け答えをすると、ドクターは「キチンと答えなさい。”はい”なの? ”いいえ”なの? 困るよ、そんな適当な事を言われては。」 と、結構厳しめな言葉を投げかけます。愛は、その雰囲気に、すっかり自分が今、医者に掛かっているような気分になってしまいました。『あれ?たしか、ここは耳掻きとか、エステティックサロンみたいな所じゃなかったかしら?』 愛は、混乱してしまいます。机の上を見ると、頭の人体模型が置かれていました。半分にカットされた、鼻や口、喉の構造が分かる物です。医学書も並んでいます。金属製の検査器具らしき物も、トレーに置かれています。消毒のアルコールの臭いもします。
ドクターは、カタカタとキーボードを打ち込んでいます。「はい、それじゃ診ましょう。」と行き成り声を掛けます。
「は、はい!? えーっと、...」 愛は、戸惑いどうしたらいいか分かりません。
ドクターは、続けて言います。「あちらの、椅子へ掛けて下さい。どうぞ。」

愛が、横を見ると、椅子があります。一段高くなっていて、ヘッドレストがついています。愛は、言われた通りに、腰掛けます。
ドクターは、歩み寄り、「頭を、後ろへ着けて下さい。そう、ちょっと上を向いて。」と言います。愛は、頭を後ろの枕へピタリとつけて、やや上を向きます。ドクターは、スタンド・ライトを移動させます。『あっ、眩しい!』と愛が思ったら、背後へ置きました。ドクターは、頭に、丸い鏡が付いた物を、着けました。よく病院で見る、医者が頭に着ける額帯鏡と呼ばれるものです。照明が落とされ、室内が薄暗くなりました。ドクターは、カートを寄せて、そこからゴム手袋を取り出し、パチンパチンと嵌めます。そして、ガチャリとトレーから何か金属製の器具を摘んで、手にします。「では、診察するからね。先ずは、御鼻を診るよ。」 先生の額に着けた丸い鏡が、ピカーッとライトを反射しながら、顔に迫って来ます。「動かないでね。」と先生がそう言うと、行き成り左の鼻孔に冷たい物が、挿し込まれました。同時にグイッと押し開かれます。『ウウッ?!』
「ほら、動かないでっていったでしょ!」 と愛は先生に叱られてしまいます。冷たい器具で、鼻孔を思いっきり(そう感じた)拡げられ、今度は動かないように、鼻先を指で押さえ付けられました。ゴム手袋の冷たい感触と、ゴムの臭いがします。ミラーの眩しい光の向こうで、先生が愛の鼻孔の中を、覗き込んでいます。『嗚呼、愛、鼻の中を、覗かれているわ!!』 先生の頭が、直ぐ目の前に迫っています。愛は、意表を突かれて、気が動転します。『ああ、さっき寒い中を歩いて来たので、鼻水が出てたのに、かまなかったわ。恥ずかしい~!きっと鼻水だらけよ、鼻の穴の中は...。それに、花粉症気味だし。』
先生は、さらに鼻孔に挿し込んだ器具を、やや動かします。「ううむ、ちょと赤く腫れているかな。鼻腔内が...」 と呟きます。すると、スポッと鼻孔から器具を抜きました。愛は、ホッとします。

「反対側も診てあげよう。動かないで。」と先生は言います。再び先生のミラーが眩しくピカピカ光りを反射します。先生は、ミラーを調整して、又愛の鼻の方へ光を集めます。どうやら、愛の後ろのライトを、反射させて、鼻腔内を照らし出しているようです。ググっとまた、冷たい器具が、愛の鼻の穴へ挿し込まれました。グイッと大きく拡げられます。愛は、何とも言えぬ恥かしさと、屈辱感を味わいます。「どうれ、ううむ...ああ、こっちも赤くなってるなあ。鼻水も出てるし。よし、粘膜採取するか。」 先生は、片手でカートの上から、長い綿棒を取って、愛の鼻孔へ挿し込みます。「ちょっとグリグリするからね。動いちゃ駄目だよ。コロナウィルスも流行しているからな、キチンと調べよう。」と先生は、愛の鼻腔内の粘膜を採取します。愛は、鼻の穴の奥に、刺激を感じて、くしゃみが出そうになりますが、若し出してしまうと、怒られそうなので、グッと我慢します。グリグリグリっと、遣られましたが、直ぐに終り『ふう~。』とため息を突きます。先生は、採取した綿棒を、バイヤル瓶に浸けて処理しています。「念の為、反対側も採ろう。」と、先生は言って、また愛の鼻の穴へ、冷たい検査器具を挿し込みます。愛が、『ううっ💦!』っと、ツーンとする刺激に堪えると、直ぐに終り、先生は同じように、綿棒を処理しています。

『はーい、お鼻の検査はお終いだね。お疲れ様。』先生は、そう言うとゴム手袋を裏返しにしながらバチーンと音を立てて脱ぎ、ゴミ箱へ捨てます。机に戻り、パソコンの電子カルテへ入力します。 愛は、そのヘッドレストの付いた小高い椅子に掛けたまま、『ふーっ、何か酷い目に遭った感じだ~。』と涙目を拭いながら、心の中で呟きます。何だか、訳の分からないまま、その診察椅子に掛けています。カタカタ、カチカチと先生が、電子カルテへ入力しているのを、見ていると、ふとBGMが鳴っていたのに気付きます。『ああ、ちょっと落ち着いて来たわ。どうなっちゃうのかと思ったけど、別に何とも無いわ。』 愛は、辺りを見回し、落ち着きを取り戻します。
愛が、ドアを開けて中へ入ると、目の前には、スリッパが幾つか並べてあった。『ああ、ここは履物を、脱いでスリッパに履き替える所なのね。』 愛は、キョロキョロと辺りを見回したが、待合には、誰もいなかった。『そっか、完全予約制ってあったから、今は私しかいないのね。それにしても、受付に誰もいないのかしら?』 そう思っていると、スマホが”キンコン”と鳴った。インストールした専用アプリが、動いているようだ。『何かしら?』 愛は、そう思ってスマホ画面を見た。画面には、”お試しキャンペーンにご参加下さいまして、有難う御座います。こちらのソファーで、暫くお待ち下さい。” と表示されていた。愛は、目の前のソファーに腰掛けた。『ふう、ちょっと遅くなったけど、無事に来れたわね。よかった。』 と、ホッとしますが、若干の不安も感じます。

愛は、ソファーに腰掛けて待ちます。一息つくと、待合には穏やかなBGMが流れ、緑の植物が置かれ、壁には、額に入った絵画が掛けられています。アロマの薫りが漂い、ゆったりとした気分になりました。横には、無料のドリンクサーバーが置かれています。”お飲み物は、自由にどうぞ” と書いてあったので、カップを取り、ボタンを押して、お水を汲みます。前のガラステーブルに置いて、寛ぎながら飲みました。
”キンコン”と再び、スマホが鳴りました。画面を見ると、”現在の健康状態を、お知らせ下さい。次の内から選んで下さい。”
『ええと、快調、普通、やや不調、不調ってあるわ。そうね、普通かしら。』 愛は、そう言うとボタンをポチります。次に、飲酒の有無、熱があるか、薬の服用の有無等が問われたので、全て無しのボタンをポチります。すると、画面に
”更衣をお願いします。お着物が汚れないように、専用ガウンを着用下さい。その際、下着も全てお脱ぎください。パンティは、使い捨てのものが、ご用意されていますので、お使いください。手荷物を持ち、左手奥の更衣室へどうぞ。更衣が終わりましたら、診察室へどうぞ” と表示されました。 愛は、『あ、そうなんだ。検診衣って事かしら?』 カップをトラッシュビンに捨てて、バッグを手にして、立ち上がります。少しドキドキします。『やっぱりクリニックよね?』 ”更衣室”のドアを開けると、そこは狭くて、中にロッカーがありました。バタンとロッカーの扉を開けると、ガウンが掛かっています。上には、袋に入った使い捨てパンティがあります。『ああ、これね。じゃ、よいしょ。』 バッグを下へ置き、上着を脱ぎます。ハンガーへ掛け、更に衣服を脱いでいきます。流石に下着を取るのに、不安が有りますが、他に誰もいる気配が無いので、思い切って脱ぎます。急いでピンクの使い捨てパンティを穿きます。『あら、悪くないわね。今度、旅行に持って行きたいわね。』 ガウンを直ぐに羽織ります。紐をキッチリ結んで、ちょっと安心します。『これでいいのね。ストッキング脱ぐと、楽ね~♪』 着衣とバッグをロッカーへ入れて、扉の鍵を回して抜きます。ガウンのポケットへ入れました。『これでいいわよね。』 愛は、更衣室から出ます。『診察室へ行くのよね。』 直ぐ左に”診察室” は、ありました。
”診察室” のプレートがあるドアを、ノックします。中から、「どうぞ、お入り下さい。」と、男性の声がしました。『あれ、男性なの?』 と、愛は少し複雑な気持ちになります。『そっか、エステティックサロンじゃなくて、クリニックなら、そうよね。』
愛は、恐る恐るそーっとドアを開けました。同時に室内から、消毒液か薬品か何かの、病院独特の臭いが漂って来ました。室内には、白いカーテンと、診察椅子、ベッド、衝立、それにライトが、眩しく目に入ります。『わっ、クリニックだわ!!』 愛は、一瞬たじろぎます。「どうぞ、こちらへお掛け下さい。」 白衣のドクターらしき白いマスクをした男性が、声を掛けます。愛は、思わず 「は、はい。」とかん高い声で返事をしました。普通のクリニックのように、篭とスツールが目に入ります。白衣のドクターらしき男性が続けて言います。「上着は、其方へ掛けて下さい。」 愛は、辺りを見回してから、静々とスツールへ腰掛けました。 ドクター(多分)は、「今日は、よくお越し下さいました。お待ちしていましたよ。既に、問診票には、お応え頂いておりますので、簡単に確認だけして行きましょう。」 と愛に、話し掛けます。言葉は、丁寧ですが、鋭い視線に、ちょっと怖そうな印象を受けます。 愛は、「は、はい、宜しくお願いします。」 と会釈して応えます。

白衣のドクターは、横に置かれたPCの電子カルテを見ながら、立て続けに、愛がスマホで送ったフォームの内容を、確認して行きます。愛は、適当にチェックを入れておいただけなので、ドクターに詳しく質問ををされて、少々動揺します。それでもこれは、無料で全部遣って貰えるんだからと、自分に言い聞かせて、堪えます。ドクターは、マウスをカチカチとクリックして、項目を埋めて行きます。愛が、曖昧な受け答えをすると、ドクターは「キチンと答えなさい。”はい”なの? ”いいえ”なの? 困るよ、そんな適当な事を言われては。」 と、結構厳しめな言葉を投げかけます。愛は、その雰囲気に、すっかり自分が今、医者に掛かっているような気分になってしまいました。『あれ?たしか、ここは耳掻きとか、エステティックサロンみたいな所じゃなかったかしら?』 愛は、混乱してしまいます。机の上を見ると、頭の人体模型が置かれていました。半分にカットされた、鼻や口、喉の構造が分かる物です。医学書も並んでいます。金属製の検査器具らしき物も、トレーに置かれています。消毒のアルコールの臭いもします。
ドクターは、カタカタとキーボードを打ち込んでいます。「はい、それじゃ診ましょう。」と行き成り声を掛けます。
「は、はい!? えーっと、...」 愛は、戸惑いどうしたらいいか分かりません。
ドクターは、続けて言います。「あちらの、椅子へ掛けて下さい。どうぞ。」

愛が、横を見ると、椅子があります。一段高くなっていて、ヘッドレストがついています。愛は、言われた通りに、腰掛けます。
ドクターは、歩み寄り、「頭を、後ろへ着けて下さい。そう、ちょっと上を向いて。」と言います。愛は、頭を後ろの枕へピタリとつけて、やや上を向きます。ドクターは、スタンド・ライトを移動させます。『あっ、眩しい!』と愛が思ったら、背後へ置きました。ドクターは、頭に、丸い鏡が付いた物を、着けました。よく病院で見る、医者が頭に着ける額帯鏡と呼ばれるものです。照明が落とされ、室内が薄暗くなりました。ドクターは、カートを寄せて、そこからゴム手袋を取り出し、パチンパチンと嵌めます。そして、ガチャリとトレーから何か金属製の器具を摘んで、手にします。「では、診察するからね。先ずは、御鼻を診るよ。」 先生の額に着けた丸い鏡が、ピカーッとライトを反射しながら、顔に迫って来ます。「動かないでね。」と先生がそう言うと、行き成り左の鼻孔に冷たい物が、挿し込まれました。同時にグイッと押し開かれます。『ウウッ?!』
「ほら、動かないでっていったでしょ!」 と愛は先生に叱られてしまいます。冷たい器具で、鼻孔を思いっきり(そう感じた)拡げられ、今度は動かないように、鼻先を指で押さえ付けられました。ゴム手袋の冷たい感触と、ゴムの臭いがします。ミラーの眩しい光の向こうで、先生が愛の鼻孔の中を、覗き込んでいます。『嗚呼、愛、鼻の中を、覗かれているわ!!』 先生の頭が、直ぐ目の前に迫っています。愛は、意表を突かれて、気が動転します。『ああ、さっき寒い中を歩いて来たので、鼻水が出てたのに、かまなかったわ。恥ずかしい~!きっと鼻水だらけよ、鼻の穴の中は...。それに、花粉症気味だし。』
先生は、さらに鼻孔に挿し込んだ器具を、やや動かします。「ううむ、ちょと赤く腫れているかな。鼻腔内が...」 と呟きます。すると、スポッと鼻孔から器具を抜きました。愛は、ホッとします。

「反対側も診てあげよう。動かないで。」と先生は言います。再び先生のミラーが眩しくピカピカ光りを反射します。先生は、ミラーを調整して、又愛の鼻の方へ光を集めます。どうやら、愛の後ろのライトを、反射させて、鼻腔内を照らし出しているようです。ググっとまた、冷たい器具が、愛の鼻の穴へ挿し込まれました。グイッと大きく拡げられます。愛は、何とも言えぬ恥かしさと、屈辱感を味わいます。「どうれ、ううむ...ああ、こっちも赤くなってるなあ。鼻水も出てるし。よし、粘膜採取するか。」 先生は、片手でカートの上から、長い綿棒を取って、愛の鼻孔へ挿し込みます。「ちょっとグリグリするからね。動いちゃ駄目だよ。コロナウィルスも流行しているからな、キチンと調べよう。」と先生は、愛の鼻腔内の粘膜を採取します。愛は、鼻の穴の奥に、刺激を感じて、くしゃみが出そうになりますが、若し出してしまうと、怒られそうなので、グッと我慢します。グリグリグリっと、遣られましたが、直ぐに終り『ふう~。』とため息を突きます。先生は、採取した綿棒を、バイヤル瓶に浸けて処理しています。「念の為、反対側も採ろう。」と、先生は言って、また愛の鼻の穴へ、冷たい検査器具を挿し込みます。愛が、『ううっ💦!』っと、ツーンとする刺激に堪えると、直ぐに終り、先生は同じように、綿棒を処理しています。

『はーい、お鼻の検査はお終いだね。お疲れ様。』先生は、そう言うとゴム手袋を裏返しにしながらバチーンと音を立てて脱ぎ、ゴミ箱へ捨てます。机に戻り、パソコンの電子カルテへ入力します。 愛は、そのヘッドレストの付いた小高い椅子に掛けたまま、『ふーっ、何か酷い目に遭った感じだ~。』と涙目を拭いながら、心の中で呟きます。何だか、訳の分からないまま、その診察椅子に掛けています。カタカタ、カチカチと先生が、電子カルテへ入力しているのを、見ていると、ふとBGMが鳴っていたのに気付きます。『ああ、ちょっと落ち着いて来たわ。どうなっちゃうのかと思ったけど、別に何とも無いわ。』 愛は、辺りを見回し、落ち着きを取り戻します。