夕方診療　（新患）

2019/12/01
23:59

　サイバークリニックでは、今日も新患の診察が行われます。

　忙しい会社勤めの女性は、クリニックへ行こうと思っても、平日は中々時間が割けません。そう言った需要に応えるクリニックは、最近では珍しく無くなりました。が、そうは言っても、自分の通勤経路に、上手くあるとは限りません。そこで、検索すると幾つかの候補が出て来ます。そのような、ネット上の検索に引っ掛かるのは、サイバー上のクリニックです。ネットで予約出来て、頗る便利なのです。そういった訳で、今日もお勤め帰りの女性が、遣って来ました。現代では、スマホ画面上で、全てが済ませられ、マップに従って最寄り駅より、徒歩で容易に辿り着きます。ビルの玄関でも、スマホをタッチして入館し、エレベータでそのクリニックのドアへ行きます。更にスマホのタッチにて、ドアは解錠し、事前に見たガイダンスのビデオで、診察室へと入ります。

　ノック不要で、指定の時間に、指定の診察室へ入ります。
とは言え、始めて来るクリニックなので、一抹の不安はあります。少し緊張しながらも、ドアノブに手を掛け、ドアを開きます。一瞬、クレゾール消毒液の臭いが、鼻を突きました。『あ、やっぱり病院だわ。この臭い、好きになれないわ．．．』

　既に、事前に問診票のフォームは、記入して送信してあります。
ひょっとすると、婦人科の診察もあるかも知れませんが、無いといいなあと、思います。ちょっと、不調な体を診て貰い、薬でも処方してくれればいいかなー。

ドアを開けて、室内へ入ります。目の前には．．．

　気軽に、お薬でも出して貰えたらいいなあ．．．と思っていたら、診察室内へ入ると、直ぐに目に入ったのは、婦人科診察台です。
　『あー、やっぱりここは、婦人科なんだ～。内科・婦人科って書いて有ったけど、婦人科っぽいわ。今日、内診されるかなぁ．．．。やだなあ。帰ろうかしら．．．』

　会社帰りの女性は、初めて来て、クリニックの勝手が、よく分からず、戸惑います。行き成り目に飛び込んで来た、婦人科診察台に固まります。キョロキョロ、ソワソワし始めます。婦人科ありきの診察台の配置に、落ち着かない様子です。

　ここはウイメンズ・クリニックだったのです。

　来てしまったものは、もう今更キャンセルするのも何だし、取り敢えず、面談だけでもして帰ろうかな。問診票には、お薬が欲しいって、書いておいたから、お薬を処方して貰おうかしら。

　初めて訪れたクリニックに、少し不安そうに待つ新患者さんです。

暫くすると、「ご準備下さい。そちらの篭に、お荷物置いて、上着を取って下さい。」と声を掛けられます。
患者さんは、受診の為に荷物を置き、上着を脱いでハンガーで掛け準備します。

　荷物を置いて、上着を脱ぎハンガーで掛けると、少し落ち着きました。
面談・問診だけしてから帰ろうっと．．．

　後ろから「では、此方へどうぞ～。」　と上着を脱いだ患者さんに、声が掛かりました。

　「こちらの椅子へお掛け下さい。どうぞ～」

『あ～、どうかしら。ちょっと心配だわ。どんな先生かしら？』
患者さんは、面談の為に、椅子へ腰掛けます。

　どうしても、婦人科診察台が気になる患者さんです。しばしば診察台を横目にします。
「どうぞ、其方へお掛け下さい。」　そう言われて、椅子へ腰掛ける患者さんです。

「今日はどうなさいましたか～？」　そう言って、中年の男性医師が現れました。

『あー、この人がお医者さんなんだー。この先生に診て貰うのね。そうだわ、確かネットに写真あったかしら。何となく見覚えがあるわ。』