'and things are worse than ever
- 2018/05/03
- 00:01

「ぜんぜん分からないわあ。」とかわいそうにアリスはまた目になみだをいっぱいにためながら、言葉を続けた。「やっぱりあたくし閉じ込められたにちがいないのね、だったらあたくし隣のドアを開ければよかった。こんなせまい牢屋にうつり住まなきゃいけないことになって、しかも縛られて手が動かないの、うわあん!

何だか暗くて膝が冷たいわ! いやあ! あたくし心に決めた、あたくしが鬼さんになんかされたら、ここであばれてやるんだから! どなたかがのぞいて『どうしたの、おやめなさい!』なんて言ってもむだなんだから! あたくし上目で申しあげてよ、『ところであなた何者? 一体どうしてこんな事するの? まずそれにお答えになって。それから、それがあたくしのやりたい事ならがまんしますけど、ちがうようでしたらほかのどなたかに代わってもらうまで、ここであばれてやります。』――でも、ああもう!」とアリスはいきなりわっと泣き出して、「そののぞいてくれるどなたかが、いてくださったらどんなにいいか! もうもううんざりよ、こんなところで鬼に縛られるだなんて!」

こう思いつつ自分の手に目を落としてみるとびっくり、見るとしゃべっているあいだにピンクの輪っかををはめられていたんだ。「どうしてこんなことをされるの?」と思ってね、「また鬼さんがぶつぶつ言うにちがいないわ。」起きあがろうとすると、鬼は背中から押さえつけるの。それで背なかを丸くしてみると、手首がひどく痛くて、わけはすぐにわかった、鉄の輪っかが小さいせいなんだ。あわてて元にもどると、まさにそのときからすっかりおさまって。
「まったく、命からがらね!」と言うアリスはいきなり変わったことにびくびくものだったんだけど。

「あんなに泣くんじゃなかった!」と言いながらアリスはもがいて前に進もうとしてね。「罰ばちが当たろうとしてるのよきっと、自分が間違ったドアを開けたばっかりにね! そんなのけったいだわ、ぜったい! それにしても今日はけったいなことばっかり。」

あの重いとびらをめざしてぜんそくりょくでにげだしました。が、ざんねん! 黒いとびらはしっかりしまっていて、鬼は追っかけてくるし、部屋は暗くて、変な家具ばかりあるし、鬼はさっきとかわらずつよい力で掴むし、冷たい床のうえで、「しかもさっきよりもひどいことになってるじゃないの」とあわれな子は考えました。「だってこんなに手足の自由がなくなったのははじめてよ、ぜったい! まったくざんねんしごくと断言しちゃうわ! それにしてもなんだか、お尻が涼しいわ」