気がふさぐのも無理は無く
- 2018/05/01
- 17:06
大人しくしていれば、手首に輪っかは喰い込まない。とはいえやっぱりいごこち悪く、それにどうにも自分はこのお部屋の外に出られる見こみもなさそうで、気がふさぐのもむりはなく。
「おうちにいた方がまだいい。」とは、ふびんなアリスの想い。「黒い鬼に頭ごなしって。あの扉を開けて中へ入らなきゃよかった、って思う――けど――けれど――どこかへんてこ、ほら、こんな世界って。ふしぎなの、どんなことが起こってくれるのって! いつもおとぎ話を読んでると、そんなのぜったい起こりっこないってきめつけるのに、いま、ここで、あたくしはそのまっただなか! なら、あたくしについて書かれた本があってもよくてよ、じゃなくて? 大きくなったら書くんだから――まあ、今だって大きいけれど、」と、いじらしい口ぶりで続けてね、「といっても、首をぎゅうぎゅう絞められてここではもう動けなくてよ。」

「どうもお前は、口が達者だなあ... お前の名前は何だ? 幾つなんだ? そうか、アリスと言うんだな。だがな、どうも煩くて堪らん。ここらで黙らせて遣ろう。口を大きく開けろ!! さあ、早く!! 」

「いやよ、いやですのよ。 なにをしようというの? アリスはおうちにかえりた!!」獄卒は、アリスの口へボールを入れて塞ごうとしています。
びっくりだ おにさん
くちがね あうあう
ナイルがわ ざあぶざぶ
うろこにね びしゃーん!
キバだして にいんやり
ツメひろげ じゃきーん
おいでませ さかなちゃん
にこにこ……がぶりっ!
「こらっ、わけの分からない事を言うんじゃない。口を開けろ!!」

愉快なおとぎ話は突然、変なお話に変わります
あれえ?! 息は出来るけど、喋れないわあ
アリスも手でおちちをもまれそうなときには、そのたびごと、はっとしてかけ足でじゅうじかに回りこむ、だからおにさんにしても小きざみにアリスへしかけるようになってね、じわじわうしろにつめるかと思いきや大きくまえ、しじゅうぐるるるとおどしっぱなしだったんだけど、はてにはとうとうはつかまり、はあはあと口から舌を出してなめまわす。
これにアリスも、にげるのは今しかないとふんで、そこですぐさま動いてかけ足、そのうちこっちもへとへとで息切れ、やがておにほえる声も遠くかすかになっていってね。

アリス付き合ってられないわ すたこらサッサのサ
隙を見て逃げ出します。
「こ、こらあ~っ 待てえーーーっ!!」獄卒は慌ててアリスの後を追います
「おうちにいた方がまだいい。」とは、ふびんなアリスの想い。「黒い鬼に頭ごなしって。あの扉を開けて中へ入らなきゃよかった、って思う――けど――けれど――どこかへんてこ、ほら、こんな世界って。ふしぎなの、どんなことが起こってくれるのって! いつもおとぎ話を読んでると、そんなのぜったい起こりっこないってきめつけるのに、いま、ここで、あたくしはそのまっただなか! なら、あたくしについて書かれた本があってもよくてよ、じゃなくて? 大きくなったら書くんだから――まあ、今だって大きいけれど、」と、いじらしい口ぶりで続けてね、「といっても、首をぎゅうぎゅう絞められてここではもう動けなくてよ。」

「どうもお前は、口が達者だなあ... お前の名前は何だ? 幾つなんだ? そうか、アリスと言うんだな。だがな、どうも煩くて堪らん。ここらで黙らせて遣ろう。口を大きく開けろ!! さあ、早く!! 」

「いやよ、いやですのよ。 なにをしようというの? アリスはおうちにかえりた!!」獄卒は、アリスの口へボールを入れて塞ごうとしています。
びっくりだ おにさん
くちがね あうあう
ナイルがわ ざあぶざぶ
うろこにね びしゃーん!
キバだして にいんやり
ツメひろげ じゃきーん
おいでませ さかなちゃん
にこにこ……がぶりっ!
「こらっ、わけの分からない事を言うんじゃない。口を開けろ!!」

愉快なおとぎ話は突然、変なお話に変わります
あれえ?! 息は出来るけど、喋れないわあ
アリスも手でおちちをもまれそうなときには、そのたびごと、はっとしてかけ足でじゅうじかに回りこむ、だからおにさんにしても小きざみにアリスへしかけるようになってね、じわじわうしろにつめるかと思いきや大きくまえ、しじゅうぐるるるとおどしっぱなしだったんだけど、はてにはとうとうはつかまり、はあはあと口から舌を出してなめまわす。
これにアリスも、にげるのは今しかないとふんで、そこですぐさま動いてかけ足、そのうちこっちもへとへとで息切れ、やがておにほえる声も遠くかすかになっていってね。

アリス付き合ってられないわ すたこらサッサのサ
隙を見て逃げ出します。
「こ、こらあ~っ 待てえーーーっ!!」獄卒は慌ててアリスの後を追います